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【短編・恋愛ミステリー小説】「ずっと一緒だよ」

ドキドキする恋のうた。YouTubeで配信中!

※こちらの作品は流血表現がございます。

「ずっと一緒だよ」/  短編恋愛ミステリー小説

【短編・恋愛ミステリー小説】「ずっと一緒だよ」
【短編・恋愛ミステリー小説】「ずっと一緒だよ」
【短編・恋愛ミステリー小説】「ずっと一緒だよ」
【短編・恋愛ミステリー小説】「ずっと一緒だよ」
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【短編・恋愛ミステリー小説】「ずっと一緒だよ」
【短編・恋愛ミステリー小説】「ずっと一緒だよ」
【短編・恋愛ミステリー小説】「ずっと一緒だよ」

⚫︎あらすじ
「ずっと一緒だよ。」
そう誓い合ったはずの二人——透花(とうか)と陽翔(はると)。
しかし、ある夜、彼は突然 行方不明 になる。

浮気の疑い。
秘密のメッセージ。
血のついたナイフ。

そして、一人の人間が倒れていた。

——誰かが、死んだのか?
——それとも、「罠」なのか?

逃げられない罪。
歪んだ愛。
絶望の結末。

「ねえ、ずっと一緒だよね?」

狂気と愛が絡み合う、衝撃のサイコ・ラブミステリー。
あなたは、この結末を受け止められますか?

目次

● 第一章:約束の言葉

「ずっと一緒だよ。」

教室に差し込む夕陽が、彼の髪をやわらかく照らしていた。
私—— 白石 透花(しらいし とうか)は、その横顔をじっと見つめながら、そっと問いかける。

「結婚しても?」
「うん。」
「歳をとっても?」
「もちろん。」
「もし、私が何か変わってしまったら?」

彼—— 相川 陽翔(あいかわ はると)は、少し笑って、私の髪を優しく撫でた。

「それでも、ずっと一緒だよ。」

胸がぎゅっと締めつけられるような気がした。

嬉しいはずなのに、どこか不安があった。
——私のことを好きでいてくれるなら、それでいいはずなのに。

だけど、私は見てしまった。
数日前のあの夜、陽翔が 佐倉 美咲(さくら みさき)と一緒にいたことを。

美咲は同じクラスの女子。
見た目は真面目そうだが、気が強くて、どこか人を見下したような瞳をしている。

私のことを、よく思っていないことも知っていた。
それなのに——陽翔は、彼女と何か話していた。

まさか、浮気?
いや、それは違う。

陽翔が美咲を好きになるなんて、考えられない。
彼はそんな人じゃない。

でも、彼女は何かを企んでいる気がした。
それは直感だった。


「透花?帰らなくていいの?」

陽翔の声に、私はハっとして彼の袖を掴んだ。

「もう少し、ここにいたい。」

彼は何も言わずに、窓の外を見つめる。
グラウンドではまだ部活の声が響き、夕陽が赤く滲んでいた。

バットの音、掛け声、風の音、そして心臓の鼓動。

私は、陽翔とこうしている時間が何よりも好きだった。
でも、それを壊そうとしている何かが近づいている気がしてならなかった。

——陽翔は、何を隠しているの?

スマホのバイブ音が響く。
陽翔がポケットの中で、スマホをそっと確認する。
その表情が、一瞬だけ固まった。

「誰から?」
「……別に。」

なんで隠すの‥

私は見てしまった。
スマホの画面に表示された名前。

——佐倉 美咲

やっぱり、あの子と何かあったんだ。
でも、それを問い詰めることができなかった。

もし、このまま何も知らなかったことにできたら——
ずっと一緒にいられる?

私が、彼を守ることができる?

「透花?どうしたの?」
「……ううん、なんでもない。」

私は静かに微笑んだ。

このまま、何も知らないふりをする。
それが正しいのかどうかなんて、もう分からない。

ただ、ひとつだけ確かなことがある。

——私は、陽翔を手放さない。
どんなことがあっても。

● 第二章:疑念の夜

彼のスマホに浮かぶ名前——佐倉 美咲

私は見なかったふりをした。
でも、胸の奥がざわざわと騒ぐ。

「ねえ、陽翔……最近、誰かと仲良くしてる?」

私の声は、できるだけ自然に響くようにした。

「なんだよ、それ。透花、疑ってる?」

陽翔は笑った。

「……違うよ。ただ、気になっただけ。」

「俺は透花が好きだよ。」

そう言って、彼は私の頭をポンと撫でる。
その手はあたたかく、優しい。

でも、その手が、あの子にも同じように触れているのかもしれないと思うと——
胸が締めつけられるようだった。

陽翔、本当に私だけを見てる?


● 深夜0時のメッセージ

その夜、私は眠れなかった。
ベッドに横になりながら、スマホを握りしめる。

0:23 AM

彼が最後にオンラインになった時間。

私に送ってきたメッセージは、たったひとつ。

「おやすみ、また明日。」

——なのに、彼はまだ起きている。

私はそっとベッドから抜け出し、窓の外を見た。
静かな夜。誰もいない路地。

その時——

スマホが震えた。

「会いたい。今から出てこられる?」

送信者は 佐倉 美咲 だった。


● 影の中の二人

私は息を呑んだ。

——何を話すつもり?

このまま家でじっとしていたら、何かを見逃してしまう気がした。

私はコートを羽織り、音を立てないように家を抜け出す。

冷たい夜風が頬を撫でる。
スマホを片手に、震える指で彼の位置を地図アプリで探す。

——いた。

駅前の公園。

私はそっと近づいた。

そして、見た。

公園の片隅、並んで座る二人の姿を。

美咲が何かを陽翔に話している。
陽翔は苦い顔をしながら、それを聞いていた。

私の心臓が早鐘のように鳴る。

——何を話してるの?
——どうして、こんな時間に?

私はもう一歩近づこうとした。

その時。

陽翔が、美咲の腕を強く掴んだ。

「もうやめろ、美咲。」

——え?

私は思わず息を呑んだ。

美咲がゆっくりと微笑む。

「やめる?私が?」

その目は、狂気に満ちていた。

「でも、陽翔君……私たち、ずっと一緒だよね?」

その瞬間、美咲がポケットから何かを取り出した。

——ナイフ。

私は駆け出した。

● 第三章:歪んだ想い

「やめろ、美咲。」

陽翔が低い声で言った。
彼の手は美咲の腕を掴んでいる。

美咲は少しも動じることなく、微笑んでいた。
夜の公園の街灯に照らされた彼女の顔は、いつもの大人しそうな彼女とは別人だった。

美咲は、見た目こそ地味で真面目な優等生に見えた。
だけど、その瞳の奥には、いつも何かを計算しているような冷たさがある。
私はずっとそれを感じていた。

そして、今、目の前にいる美咲は——完全に何かが狂っていた。

「やめる? 私が?」

彼女はポケットから光るものを取り出す。
それは、小さな折りたたみナイフだった。

「ねえ、陽翔君、ずっと私のことを見てくれてたよね?」
「……は?」

陽翔が眉をひそめる。
美咲の声は、まるで恋人に甘えるような優しい響きをしていた。

「ずっと一緒にいたかった。だから、あなたの彼女を遠ざけようとしたのに……」

——私を?

私の体が凍りつく。

「だけど、あなたは何度も邪魔するの。」
美咲の声が冷たくなる。

「ねえ……そんなに、あの子が大事なの?」

彼女の手に握られたナイフが、わずかに光る。

「美咲、お前……」

陽翔が一歩後ずさる。

——このままじゃ、陽翔が……!

私はもう迷わなかった。

「やめて、美咲!!」

私は飛び出し、彼と彼女の間に割り込んだ。

美咲の目が、一瞬だけ驚いたように見開かれる。

「……透花?」

「どうして、陽翔を傷つけようとするの?」

私の声は震えていた。

美咲は少しの間、じっと私を見つめていた。
そして、ふっと笑う。

「……そういうところ、嫌い。」

その瞬間、美咲の腕が振り上げられる。

ナイフの刃が、夜の闇に光った——。

● 第四章:罠

「やめろ、美咲。」

陽翔の声が張り詰める。

それでも、美咲は冷静だった。
静かにナイフを持ち直し、一歩ずつ陽翔へ近づく。

「どうしてそんな顔をするの?」

彼女の瞳は、まるで何かに憑りつかれたように揺れていた。

「ねえ、陽翔君。ずっと一緒にいたかったのに、どうして私を邪魔するの?」

「邪魔なんかしてない! 美咲、お前は……!」

「嘘つき。」

美咲はスッと息を吸い込むと、一瞬で陽翔に飛びかかった。

シュッ——

ナイフの刃が、夜の空気を切り裂く。

——その時。

「やめて!!」

響く、私の声。

美咲は、クスッと笑った。
まるで、私が来ることを最初から知っていたみたいに。

——そうか。

私は気づいた。

これは、彼女の 戦略 だったんだ。

「最初から、私を刺すつもりだったんだ……!」


● 魂胆

美咲はナイフを振りかぶる。
しかし、その刃先は——陽翔ではなく に向いていた。

「透花、あなたが来るのを待ってた。」

「美咲……っ!?」

「陽翔君が危ないと思えば、あなたは絶対に助けに来るでしょ?」

彼女は笑った。
その表情には、確信があった。

「だって、あなたは陽翔君の “ヒロイン” だから。」

美咲のナイフが私の心臓めがけて一直線に——

その瞬間。

——ドスッ。

「……え?」

私ではなく、美咲の身体が大きく揺れた。


● 逆転

陽翔が、ナイフを握っていた。
彼の手は震えている。

美咲の目が見開く。

「……陽翔……君が……?」

彼女の口元から、赤いものが垂れる。

「お前が透花を傷つけようとしたんだ……!」

陽翔の手は、まだ美咲の腹に突き刺さったままだった。

「俺は……もう誰も失いたくないんだ!!」

美咲の身体が、ゆっくりと崩れ落ちる。

私は、息が止まるのを感じた。

「やっぱり……透花が選ばれるんだね……。」

彼女は、血の気の引いた唇で、そう呟いた。

「ずっと……一緒になりたかったのに……」

美咲の手が、スルリと陽翔の腕から落ちる。

静寂。

私は何かを言おうとした。
でも、何も言えなかった。

陽翔は、ただ美咲の倒れた身体を見下ろしていた。


● 逃れられない選択

「……やるしかなかったんだ。」

陽翔の声は震えていた。
彼の手にはまだ血のついたナイフが握られている。
その足元には——美咲が倒れていた。

「……陽翔、これ……」

私は声を出そうとしたが、喉がひりつくように痛かった。
何かを言えば、現実になってしまう気がした。

でも、目の前の事実は変わらない。

美咲は動かない。

彼女の胸から流れる血が、アスファルトをじわりと染めていく。

「俺……やっちゃったのか?」

陽翔の瞳はどこか焦点が合っていなかった。

私は彼の腕を掴む。

「陽翔、聞いて。警察に行けば——」

「……捕まるよな。」

彼は小さく呟いた。

私は息を呑む。

そう、これは正当防衛とはいかない。
警察がどう判断するかなんて、わからない。

でも、一つだけ確かなことがある。

——このままじゃ、陽翔が捕まる。

私のせいで。

それだけは、絶対に避けたい。


● 逃げる選択

私は強く陽翔の腕を握った。

「陽翔、逃げよう。」

「……は?」

「このままここにいたら、絶対に見つかる。警察が来たら終わりだよ。」

彼は戸惑ったように私を見た。

「でも……もうどうしようもないだろ……」

「違う。どうにかするの。」

私は震える手で、美咲の身体を見下ろした。
彼女の顔は静かだった。

まるで、眠っているようにすら見えた。

でも、目を閉じてやることはできなかった。

彼女の瞳が、まだ私を見ている気がして——。

「……透花、本気なのか?」

陽翔の声が揺れる。

私は息を整え、強く頷いた。

「誰にも見つからないようにする。
私がやるから、陽翔は……」

「ダメだ、お前にそんなこと……」

陽翔が捕まるくらいなら、私がやる。

私は彼をまっすぐに見た。

「だから、協力して。」

陽翔は、拳を握りしめる。

「……わかった。」

彼は小さく頷いた。

その瞬間、私は決意した。

これはもう、正しいとか間違いとかの問題じゃない。

——彼を守るために、私は罪を犯す。


● 深夜の闇

「まず、ここから離れよう。」

私は美咲の身体を持ち上げようとするが、うまくいかない。

陽翔が無言で私の手を払って、彼女の腕を抱えた。

「俺がやる。」

彼の顔は蒼白だったが、その目には決意があった。

私たちは周囲を確認する。

——誰もいない。

時計の針は、深夜2時を指していた。

「人目につかない場所に隠さなきゃ……」

「……でも、どこに?」

陽翔の声が震える。

私は少し考えてから、答えた。

「……私の部屋 なら、一旦隠せる。」

「透花……本気で言ってるのか?」

「今は他に選択肢がないでしょ?」

陽翔は黙った。

そして、ゆっくりと頷いた。

——こうして私たちは、美咲の身体を運ぶことになった。

罪の意識と恐怖を抱えながら、
ただ、夜の静寂に包まれながら——。

● 第五章:沈黙の部屋

——どうして、こんなことになったんだろう。

私は震える手で、鍵を回した。

カチリ。

玄関のドアが静かに開く。
深夜の静寂に、私と陽翔の荒い息遣いだけが響いていた。

「急いで……」

私はささやくように言った。
陽翔は無言のまま、美咲の冷たい身体を抱え、そっと部屋の中へ入った。


● 選択

部屋の中は、暗く静まり返っている。
まるで時間が止まってしまったかのような、異様な空気。

この部屋のどこかに、美咲を隠さなければならない。

でも、そんな場所があるだろうか?

「透花……どうする?」

陽翔の声が震えていた。
無理もない。

彼はまだ、自分の手が人を殺めた事実を受け入れられずにいる。

「……まず、床に寝かせて。」

私はできるだけ冷静を保ちながら言った。

陽翔はゆっくりと、美咲の身体を床に横たえる。
彼女の顔は穏やかで、まるで眠っているようにさえ見えた。

でも、私は知っている。
彼女はもう二度と目を開けることはない。

そう、私たちが このままならば——。


● 胸に広がる違和感

私は深呼吸して、次の行動を考えようとした。

でも、何かがおかしい。

何か……何かが引っかかる。

私は、美咲の顔をもう一度見つめた。
その時——。

——スッ。

彼女の唇が、わずかに動いた気がした。

「……っ!!」

心臓が凍りつく。

「……透花? どうした?」

陽翔が不安そうに私を見た。

私は声を絞り出す。

「……美咲、本当に死んでる?」

「……え?」

私は急いで彼女の首元に指を当てた。

ドクン——ドクン——

「嘘……」

かすかに、脈がある。

「透花、何言って……」

「陽翔、彼女、まだ生きてる……!!」


● 死ななかった女

陽翔の顔が青ざめる。

「そんな……俺、確かに……刺したんだぞ……」

彼は手を見下ろし、指先についた血を見つめた。

「でも、見て……まだ脈がある……!!」

私の声は震えていた。

「このままじゃ、警察に——」

「いや……違う……」

陽翔の表情が歪む。

「これ……美咲が仕組んでたんじゃないか?

「……え?」

「最初から、俺が美咲を刺すように仕向けて……こうして 俺たちが隠そうとしている ところまで計算してたんじゃ……?」

その言葉に、私は背筋が凍る。

もし……もし本当にそうだったとしたら?

美咲は、陽翔に自分を刺させて 俺たちを共犯にしようとしていた……?

「どうすればいい……?」

陽翔が私を見る。

私の中に、一つの決断が生まれる。

——ここで美咲を救えば、全て終わる。
でも、もし彼女がまた何かを仕掛けてくるなら……

私は震える手で、部屋の奥を見つめた。

このまま隠し続けるのか、助けるのか——。

どちらを選んでも、もう 普通の生活には戻れない

● 第六章:まだ生きている

「このままじゃダメだ……」

陽翔が呟く。
私は美咲の脈を確認しながら、心臓の鼓動が早まるのを感じていた。

「どうする? 透花……警察に連絡すれば……」

「それはできない。」

私は即答した。

陽翔の手がピクリと動く。
彼は驚いたように私を見る。

「……なんで?」

「もし警察が来たら、陽翔が捕まる。」

「でも、美咲はまだ生きてるんだぞ! 俺たちが何をしようと、彼女が意識を取り戻せば、結局は——」

「わからないよ。」

私は彼の言葉を遮った。

「美咲は何を考えてるかわからない。もしかしたら、最初から 私たちを追い詰めるために、この状況を作ったのかもしれない。

「……そんなバカな。」

陽翔はうつむき、握りしめた拳を震わせる。

「でも、考えて。最初に襲ったのは陽翔だったよね? でも、私が来ることを美咲はわかっていた。彼女は本当に陽翔を殺そうとしたの?」

「……それは……」

「違うよ。彼女の目的は、最初から だったんだ。」


● 美咲の計画

思い返してみれば、最初からおかしかった。

美咲は「陽翔を殺す」と言いながら、あの時 ナイフを陽翔に向けたけれど、本気で刺そうとはしていなかった。

むしろ、陽翔が「私を守るために動く」のを 待っていた ようにさえ見えた。

そして、陽翔が彼女を刺してしまった。

それが、美咲の狙いだったんじゃないか?

陽翔を「加害者」にすることで、私を巻き込み、私たちの関係を壊すこと。

それが美咲の本当の目的だったとしたら——?

「陽翔……もし、美咲が意識を取り戻したら、何をすると思う?」

陽翔の顔が青ざめる。

「……俺たちを、警察に売る……?」

「いや。」

私はゆっくりと首を振った。

「私たちをもっと追い詰める。」


● 選択肢

「じゃあ、どうする?」

陽翔の声がかすれる。

「このまま放置するのか? それとも……」

選択肢は二つしかなかった。

美咲を助ける。

  • だが、助けたところで彼女がどう出るかはわからない。
  • 彼女が陽翔を狙う可能性もある。
  • もしかしたら、私たちが彼女の「共犯」だと世間に知られるかもしれない。

美咲を完全に始末する。

  • そうすれば、この問題は解決する。
  • だけど、それはもう後戻りできない道だ。
  • 陽翔を完全な殺人犯にしてしまうことになる。

私は拳を握りしめる。

どちらを選んでも、もう普通の人生には戻れない。

「……透花、お前はどうしたい?」

陽翔の声が震える。

私は、美咲の顔を見つめる。

——本当に、こいつを助けるべきなの?

私は、目を閉じた。

そして、決めた。

● 第七章:選ばれた結末

私は息を詰めた。
目の前には、血を流しながら倒れる美咲。
その隣で、青ざめた顔をした陽翔。

このまま放置するか、それとも……。

私の手が震える。

——決めなきゃ。

私は、そっと陽翔の手を握った。
彼の指先は氷のように冷たい。

「……透花?」

「陽翔……」

私は彼を見つめる。

「もう、後戻りはできないよ。」

陽翔は一瞬、何かを言いかけた。
だけど、すぐに口を閉じた。

——分かってるんだ。

もう、私たちは普通の高校生には戻れない。

だから、私は決めた。


● 美咲を”消す”

「陽翔、美咲を隠そう。」

「え……?」

「彼女をこのままにしておくわけにはいかない。
今、警察に連絡したら、私たちは終わる。」

「でも……美咲は、まだ生きてる……」

陽翔の声はかすれていた。

私はゆっくりと首を振る。

「わかってる。でも、生きてるからこそ、危ないの。」

「……危ない?」

「もし、美咲が目を覚ましたらどうなると思う?」

陽翔は息を呑んだ。

「彼女は絶対に私たちを追い詰める。
そして、陽翔を”加害者”にする。」

そう、美咲は 最初からこの状況を作り出そうとしていた

陽翔を殺人者に仕立て上げる。
私を共犯にする。
そして、彼女だけが”被害者”になる。

「だから、美咲をこのままにしておくわけにはいかない。」

「……透花、お前……」

陽翔は信じられないという顔をしていた。

だけど、私はもう迷っていなかった。

「誰にも見つからない場所に、美咲を埋める。」


● 夜の逃亡

「急がなきゃ……」

私はクローゼットの奥から 黒いゴミ袋 を取り出した。

陽翔がそれを見て、わずかに顔を歪める。

「……まさか……」

「このまま運ぶのは危険だから。」

私はゴミ袋を広げながら言った。

「透花、本当にやるのか?」

陽翔の手が震えている。

私は彼を真っ直ぐ見つめた。

「陽翔は何もしなくていい。私がやる。」

「……っ!」

陽翔は口を開こうとしたが、言葉にならなかった。

「……もう、引き返せない。」

私は美咲の身体をゆっくりと 黒いゴミ袋 の中へ滑り込ませた。

彼女の細い手足を折り曲げ、すっぽりと袋の中に収める。
袋の口をしっかりと縛り、持ち上げる。

——重い。

当たり前だ。
これは、人ひとりの重さなのだから。

陽翔は横で青ざめたまま、私の動きをじっと見ていた。

「行こう。」

私は息を詰めたまま、玄関のドアを開けた。

——この黒い袋の中にあるのは、美咲の身体。
それとも、私たちが捨てた “普通の人生” ?

そう考えた瞬間、ひどく冷たい風が吹いた気がした。


● 闇の森

森の奥に着いた頃には、夜が明けかけていた。

「ここに埋めよう。」

私はスコップを握りしめ、硬い土を掘り始めた。
陽翔も無言で手伝う。

一掘り、また一掘り。

気が遠くなる作業だった。
でも、手を止めることはできない。

そして——

十分に深くなった穴を前に、私は立ち尽くす。

本当に、ここに美咲を埋めるの?

「……透花。」

陽翔が私の名前を呼んだ。

彼の目には、わずかな迷いがあった。

「本当にこれでいいのか?」

「……そうするしかないよ。」

私は自分に言い聞かせるように呟いた。

その時だった。

——カサッ。

わずかな音が、森の静寂を破った。

ゾクリとする違和感。

「……何の音?」

陽翔が警戒するように周囲を見回す。

「……風?」

でも、違った。

風じゃない。

これは——。

——”誰かの呼吸”だ。

私はハッとした。

「陽翔!! 美咲が!!」

彼を振り向いた瞬間——

黒いゴミ袋の中から、”何か” が動いた。

——ガサ……ガサ……

そして、低い笑い声が響いた。

「……ずっと、一緒だよ。」

● 第八章:声

——ガサ…ガサ…

静まり返った森の中で、確かに何かが動いた音がした。
私の指先が凍りつく。

——まさか。

黒いゴミ袋の中から、かすかに聞こえる息遣い。
そして——

「……ずっと、一緒だよ。」

——美咲の声。

「嘘……」

私の喉がひりついた。

陽翔が恐る恐る袋に近づく。

「透花、どういうことだよ……!? こいつ、死んでなかったのか……!?」

「そんなはずない! 陽翔が刺したんだよ! あの時、美咲は——」

カサッ

——もう一度、袋の中が動いた。

「……開けるぞ。」

陽翔が震える手で、ゴミ袋の口にかかっている紐を掴んだ。

私の心臓が爆発しそうになる。

でも、開けるしかない。

彼女が生きているのか、まだ動けるのか、それとも……。

陽翔が一気にゴミ袋の口を開いた——。


● 目を開いた女

黒いビニールが剥がれた瞬間。

美咲の顔が、そこにあった。

血に濡れた服。
肌は白くなり、唇は乾いている。

でも——。

その瞳は、しっかりと私たちを見つめていた。

「……やっぱり、私のことを捨てようとしてたんだね。」

美咲が、微笑む。

「!!」

陽翔が咄嗟に後ずさる。

「お前……本当に生きてるのか……!?」

美咲はゆっくりと身体を起こす。
傷口からじわりと血が滲む。

「ねえ、陽翔君……透花ちゃん。」

彼女の声は、いつも通りの優しい声だった。

「どうして私を、殺してくれなかったの?」

——え?

美咲は、心からの疑問のように、そう言った。

「こんな中途半端なことされたら……また会いに来るしかないよね?」

私の背筋が凍りつく。

「ふざけるな!!」

陽翔が怒鳴る。

「お前が俺たちを追い詰めて、俺が……お前を刺したんだぞ……! それなのに……!!」

「うん、刺したよね。」

美咲は、淡々と答えた。

「でも、それで終わりじゃないよ。終わりにしてくれなかったのは、あなたたちでしょ?」

「……!!」

確かに、もしあの時すぐに警察を呼んでいたら——
この事態にはならなかった。

でも、私たちは選んでしまった。
彼女を「隠す」という選択を。

「ねえ、陽翔君。」

美咲が小さく笑う。

「もし私が、もう少し傷が深かったら、本当に死んでたのにね。」

陽翔の顔が苦しげに歪む。

「お前は、俺に……俺に……!!」

「……殺してほしかったの?」

私は、美咲の目を見た。

彼女の瞳は、驚くほど静かだった。

「そうだよ。最初から。」

その言葉が落ちた瞬間、風が吹いた。

木々が揺れ、夜がざわめく。

私は全身が震えた。

「……嘘……」

「本当だよ?」

美咲は、笑った。

「でも、今はもうどうでもいい。だって、もうあなたたちは 共犯者 だから。」

「!!」

私は、息を呑む。

「……私を捨てようとしたよね? でも、もう遅いよ。
あなたたちの手は、すでに”汚れてる”んだから。」

美咲は立ち上がる。

血に濡れた彼女の姿は、夜の森の中で異様に美しく見えた。

そして、彼女は言った。

「ずっと、一緒だよ。」

● 第九章:逃れられない鎖

「ずっと、一緒だよ。」

——その言葉が、暗闇の中で響いた。

私は息が詰まるのを感じた。

ここは、誰も来ない森の奥。
黒いゴミ袋に包まれたはずの美咲が、血まみれのまま 立ち上がっている。

私と陽翔は、ただ呆然と彼女を見つめるしかなかった。

「……嘘だろ?」

陽翔が震える声を出す。

「俺は……確かに、お前を刺したんだぞ……! それなのに、なぜ……!」

美咲はそんな陽翔の絶望を楽しむように、うっとりと目を細めた。

「そうだね……陽翔君は、私を刺した。でも——」

彼女は、スッと手を開いた。

「それで終わるわけないよね?」

その手のひらの上には、小さな録音デバイス があった。

「……え?」

私は、冷や汗が背筋を流れるのを感じた。

——まさか。


● 録音された「証拠」

美咲はゆっくりと、ボタンを押した。

「……お前が透花を傷つけようとしたんだ……!」

「俺は……もう誰も失いたくないんだ!!」

……それは、陽翔の声だった。

「!!」

私の喉が凍りつく。

「これ……私が刺される直前に録音しておいたの。」

美咲は、まるで大切な宝物を見せるように、それを指でなぞった。

「ねえ、陽翔君。これを警察に出したら、どうなると思う?」

陽翔の顔が青ざめる。

「お前……最初から……!」

「そうだよ。」

美咲はクスリと笑った。

「最初から、こうなることを分かってた。」

「……お前は、俺に刺されるつもりで、ここまで……」

陽翔が膝をつく。

「私ね、本当は陽翔君に刺されたかったわけじゃないの。」

美咲は、静かに言った。

「でも、”そうするしかなかった”の。」

彼女の笑顔は美しく、そして歪んでいた。

「だって……陽翔君も、透花も、私を選ばなかったから。」


● 逃げ場のない状況

「美咲、何がしたいの?」

私は必死に声を出す。

「陽翔を殺すつもりだったの? それとも——」

「……どっちでもよかった。」

美咲は静かに言った。

「大切なのはね、あなたたちが”私から逃れられない”こと。

「……は?」

私は、彼女の言葉の意味を理解できなかった。

「陽翔君が私を刺した。”殺人未遂”だよね?」

彼女は録音デバイスを軽く振った。

「これを警察に渡せば、彼は捕まる。
それだけじゃない。”共犯”として、透花もね。」

——そうだ。

私たちは、すでに”隠そうとした”時点で 共犯者 だ。

もし美咲が今、警察に行けば、
陽翔はもちろん、私も巻き込まれる。

「……そんな……」

陽翔の声が震える。

「俺たちを……俺たちを、どうするつもりだ……?」

美咲はゆっくりと笑った。

「簡単だよ。」

彼女の目が、獲物を見定めるように輝いた。

「あなたたちは、これから”私の言うことを聞いて”生きていけばいい。」

「!!」

私は息が詰まる。

「……まさか……」

「そう。私はあなたたちの”共犯者”なんだから。
二人とも、私の”大切な人”だもん。」

彼女は、静かに言った。

「だから、逃げるなんて許さないよ?」


● 逃れられない鎖

森の中に、三人の影があった。

ひとりは、血に濡れた少女。
ひとりは、膝をつく少年。
ひとりは、震える少女。

そして——その間にあるのは、”逃げ場のない鎖”。

美咲は、私たちを”殺す”のではなく、”支配する”つもりだった。

「ねえ、透花。陽翔。」

美咲は甘い声で囁く。

「これから、三人でずっと一緒に生きていこう?」

私の視界が、ぐにゃりと歪む。

この女から……逃げられない。

「……うそ……」

私は、壊れたように呟いた。

そして、美咲は笑う。

「ねえ、私たち、”ずっと一緒”だよね?」

【短編恋愛ミステリー】ずっと一緒だよ | 寿司娘

あとがき
この度は、ご購読頂きまして誠にありがとうございました。
よければ簡単なご感想をコメント欄(InstagramのDMなど)にいただけますと幸いです。今後の参考にさせていただきます。

初の”短編・恋愛ミステリー”を書きました。
私自身、ミステリー小説が好きでよく読むので「自分でも書いてみたい」と思ったのが執筆のキッカケです。物語を読むのも考えるのも書くのも楽しいですね。これからも読者様をドキドキ・ワクワクさせられるような作品をお届けできるよう精進いたします。最後までお読み頂きありがとうございました。

最後に
日頃から寿司娘のコンテンツをご覧いただいている方、初めて知っていただいた方、本作品を手に取って頂きましてありがとうございます。心より感謝申し上げます。

寿司娘

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